フコキサンチンについての紹介です。褐色海藻に含まれる成分としてフコキサンチンという成分があります。いろいろな効果があり、主に美白効果、肥満の予防作用、糖尿病の予防作用、抗酸化作用、抗腫瘍作用などがあることが研究でわかっています。
フコキサンチンとは?
フコキサンチンは強い抗酸化力のあるカロテノイドの一種です。カロテノイドとは黄、橙、赤色などを示す天然色素のもとです。フコキサンチンは多いものでも0.02%程度と非常に微量しか含まれていません。
フコキサンチンの効果
美白効果
肌の保湿に関わるコラーゲンやエラスチン、くすみやシミに関わるメラニンや色素沈着について良い効果があります。
コラーゲンの分解の抑制
コラゲナーゼはコラーゲンを分解する作用があります。このため、コラゲナーゼが活性化すると皮膚の老化現象であるシワやたるみが起こります。フコキサンチンは、コラゲナーゼ活性を阻害し、コラーゲンの分解を抑制する効果があります。
エラスチンの分解の抑制
エラスチンは、コラーゲンと同様に皮膚を構成する主要タンパク質です。皮膚の弾力性に関与しており、エラスターゼが分解されると皮膚の弾力性がなくなり、皮膚にシワやたるみが生じます。生体内で生成されたエラスチンは、エラスターゼにより分解されます。フコキサンチンは、エラスターゼ活性を阻害し、エラスチンの分解を抑制する効果を持つ可能性があります。
メラニンの抑制
肌のくすみや色黒、シミは、メラニンが原因です。メラニンは生体内でチロシナーゼの働きでチロシンからドーパキノンを生成し、その後、酸化反応などが進行してメラニンを生成します。フコキサンチンは、チロシナーゼ阻害し、メラニンを抑制する効果があります。
色素沈着の抑制と改善
動物に紫外線を当てて皮膚の黒色化、色素沈着への影響を確認した実験では、フコキサンチンには,色素沈着を抑制するとともに,沈着した色素をより早く消失させる効果があることがわかりました。
肥満の予防
フコキサンチンには、肥満の予防に効果があることがわかっています。脂肪組織には白色細胞組織と褐色脂肪組織の2種類があり、白色細胞組織が脂肪を貯蔵する役割を持っています。この白色脂肪組織が増加した状態が肥満です。動物実験はフコキサンチンが有意に脂肪蓄積を抑制し、脂肪重量減少が認められました。フコキサンチンを摂取することでエネルギーを消費するミトコンドリア内膜に特異的に存在する脱共役タンパクが白色脂肪細胞内に発現し、効率的な脂肪の燃焼、体重、体脂肪減少効果が確認されています。メカニズムが明確なため、確度の高い肥満予防効果があるといえます。
糖尿病の予防
フコキサンチンは糖尿病の予防効果があります。フコキサンチンは糖の代謝を促進し、血糖値を減少させる効果があります。また、フコキサンチンを投与することにより、血糖値の増大にかかわるアディポサイトカインの分泌を抑制するという研究結果も出ています。動物実験でも有意な血糖値濃度低下が確認されています。このため、糖尿病を予防する効果があると考えられます
抗酸化作用
主にカロテノイドは抗酸化作用が最もよく知られています。フコキサンチンもカロテノイドの一種のため抗酸化力もち、活性酸素の増加を抑えて老化を予防や生活習慣病を予防する効果があります。他のカロテノイドのβーカロテン、βークリプトキサンチン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、リコペン、ルチン等が、好気的条件下で抗酸化作用を示すのに対し、フコキサンチンは生体内などの低酸素分圧下でより強い抗酸化作用を示しめすのが特徴です。このため、体内でより効果的な抗酸化作用が期待できます。
抗腫瘍作用・抗がん作用
フコキサンチンには抗腫瘍作用・抗がん作用の報告が多数あります。報告の概要は十二指腸癌、神経芽細胞腫、肝臓癌、前立腺癌、前立腺癌細胞、結腸癌細胞、前骨髄性白血病細胞を良い状態にしようとする働き、皮膚・十二指腸癌における抗腫瘍作用、抗血管新生活性、結腸癌細胞の増殖抑制、癌細胞の抑制などが報告されています。
フコキサンチンを含む食べ物
フコキサンチンの含量の例です。100gあたり以下が含まれます。
- 昆布:19mg
- ワカメ:11mg
- ひじき:2.2mg
昆布とひじきについては以前に以下の記事を書いています。興味があるようでしたらご覧ください。
中性脂肪・コレステロールを減らすひじきのタンニン・フコイダンの効果