アトピーとは強いかゆみや湿疹ができる慢性的な病気です。体質や環境など様々な要因があります。アトピー性皮膚炎は皮膚に関わる病気のため、まずは皮膚について読んでいただき、その後原因をみてみましょう。
Contents
皮膚とアトピー性皮膚炎について
人間の皮膚に備わっているバリア機能は、外からの刺激や雑菌などの外敵が体内に入り込まないように、また体内から水分などが保たれるように機能しています。皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織という3層からなり、表皮のいちばん外側にある角層が、このバリア機能を担っています。アトピー性皮膚炎の人の皮膚は、このバリア機能が低下しているため、角質の細胞の間を埋めている角質細胞間脂質や水分を保つ天然保湿因子が減って、外からさまざまな刺激やアレルゲンが侵入しやすくなる状態になっています。アレルゲンが皮膚から侵入すると、免疫細胞が働き、ヒスタミンという物質を出すことで炎症が起こります。皮膚の一番外側の角質層は約0.02mmですが健康な皮膚はこれでも水分を保っています。また、健康な皮膚は角質層によって皮膚のバリアが保たれており、外からの有害物質が皮膚に入らないようになっています。しかし、アトピー性皮膚炎の場合、角質層が正常な状態でなく以下のように壊れた状態になっています。
このように角質層が正常でない場合の水分が失われて乾燥しやすくなります。また、それによって皮膚のバリや機能が失われ、大気中のアレルギー物質などが皮膚に入り込んで炎症を起こしてしまします。また、このように角質層が正常でない状態で水分が失われてしまうと、かゆみ感じる神経の知覚神経が皮膚の外側に伸びてかゆみを感じやすくなってしまいます。また、掻き壊しによりバリア機能が低下した皮膚は、ちょっとした刺激でもかゆみが起こりやすい状態のため、さらに掻いてしまい、よりバリア機能が破壊されるという悪循環に陥りやすくなり、アトピー性皮膚炎の悪化の要因になります。アトピー性皮膚炎は「1.炎症が発生・悪化する」→「2.かゆいのでかいてしまう」→「3.皮膚を書き壊す」→「1.炎症が発生、悪化する」のサイクルを繰り返してなかなか治らないのが特徴です。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎の原因には、アトピー素因やバリア機能が低下している皮膚状態などの体質の要因と、アレルギー症状を起こすアレルゲンや皮膚への外部刺激など環境の要因があります。ただし、アトピー性皮膚炎の増悪原因や症状は人によってさまざまです。アレルギー反応を調べるパッチテストでもすべての人が同じアレルギーをもっているとは限りません。また、そのときの体調や精神的な状態によっても異なることがあります。これはアトピー性皮膚炎がいくつもの要因が重なって影響する多因子性の病気のためです。
アトピー性皮膚炎の原因は大まかに体質と環境に分けられます。個人差があるため、全ての要因に当てはまらないものもあります。
体質よる原因
- 皮膚バリアの低下
- アレルギー体質(アトピー素因の保有)
環境による原因
- アレルゲン(アレルギー症状の原因物質)
- 食べ物
- ダニ、ほこり、カビ、花粉、動物の毛、フケ、ハウスダストなど
- 疲れ、寝不足、ストレス
- 汗、衣類による摩擦、乾燥、ひっかき傷、洗剤など日用品、化粧品など
まとめ
アトピー性皮膚炎の原因は体質や環境など様々な要因があり、個人個人で差があります。また、「1.炎症が発生・悪化する」→「2.かゆいのでかいてしまう」→「3.皮膚を書き壊す」→「1.炎症が発生、悪化する」のサイクルを繰り返してなかなか治らないのが特徴です。このため、体質、環境を把握し、炎症、かゆみ、皮膚を書き壊すことのそれぞれの原因に対して対策していくことが必要です。